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かぎろひNOW

悠久の奈良大和路を一歩ずつ  風景、もの、人…との出会いを楽しみながら

川端康成・東山魁夷コレクション展 




「川端康成コレクションと東山魁夷 知識も理屈もなく、私はただ見てゐる」展が、山梨県立美術館で開催中です。

川端康成は、美術品にも造詣が深く、コレクターという一面ももっていました。
国宝2点を含むと言いますから、目利きも天才だったのかもしれません(国宝を求めたのではなく、入手したものが後に国宝指定された)。

そのコレクションは土偶、埴輪、仏像をはじめ、絵画、工芸など幅広く、日本美術だけではなく、ロダンやルノワールなども含まれるとか。

展覧会の詳しい内容は→こちら



なぜ、かぎろひさんが山梨県立美術館の紹介を? と思ってくださった方、いらっしゃいます?

ふふ、これには、ちょっと感激の物語があるのです。聞いてくださいますか。


過日(8月21日)、突然、川端コレクション展覧会プロデューサーの水原園博さんからメールが届きました。これにはほんとうにビックリ。

かぎろひさま 日経の記事に紹介された水原園博です。川端康成と東山魁夷の歌碑との出会いは、私自身、衝撃的なものでした。この逸話を深く感じ取っていただき恐縮しています。
目下、川端コレクションと新しくデビューした東山コレクションのコラボレーションを企画しています。本年秋に山梨県立美術館で来年正月から新潟市立美術館で、来年夏、金沢21世紀美術館で、2年後の秋、宇都宮美術館で開催されます。東山魁夷秘蔵のスケッチも60点、すばらしいものです、ぜひご覧になってください。



どうやら、ワタクシのブログ記事がお目にとまったようでした。→川端康成歌碑の真相


ワタクシ、オドロキ、ヨロコビ、お返事したことはいうまでもありません。

するとすぐに「川端の森深く 展覧会2500日の軌跡」というエッセーを頂戴して、さらに感激したのでした。単なる記録というようなものではなく、魂をこめた深い思い入れの感じられる名文は、味わいのある小説にも似て、一気に読ませてくれるものでした。


↓そうして、つい先日は、山梨県立美術館で開かれている展覧会の案内と、分厚い図録がドサッと届いたのです。335ページ、厚さ2㎝以上もある豪華本です。




山梨県立美術館での展覧会とはいえ、川端康成と東山魁夷は、奈良大和路と深いつながりをもっています。

桜井市の井寺池の堤には、万葉歌を刻んだ川端康成の歌碑があり、すぐ近くには東山魁夷揮毫のものが。贈ってくださった図録を見て、2人の交流の深さを知れば知るほど、胸に迫るものを禁じ得ません。

歌碑撮影のために、この地を訪れた水原園博さんの文章を紹介せずにはいられなくなりました。
図録の巻末に掲載されていた「川端の森、東山の森 展覧会3500日の記録」から、一部を抜粋して紹介させていただきます。抒情あふれる文章に、ひきこまれました。奈良好きにはたまらない名文と言えましょう。


平成18年の春、水原さんが撮影スタッフとともに、井寺池を訪れたときのもの(写真はかぎろひが挿入)。長い引用で恐縮ですが、お許しください。


 堤防を彩る桜は満開で、細い針のような雨が降りつのる。情感を醸(かも)しだすには最高だ。万葉人に歌われた里は一木一草にも風情を感じさせる。
 堤防を進むと、歌碑があった。皆、予想よりも小さいことに驚く。叢(くさむら)に川端の骸(むくろ)が横たわっているようだった。

大和は国のまほろば たたなづく
青かき山ごもれる 大和し美(うるわ)し



 東山はこの倭建命の歌を絶賛した。眼下には大和国、盆地に浮かぶ花びらのような耳成と畝傍。香具山は藪影に隠れて見えない。その奥に屏風のような山が連なる。金剛、葛城、信貴、生駒と続く。雨のせいか山際が青い。点在する黒い杜は古墳や陵。日本民族、誕生の地である。
 柿畑の脇には東山の歌碑があった。大和三山を男と女に見立て、妻争いを歌った歌だ。

かぐ山は 畝傍ををしと 耳成と 相あらそひき 神代より かくなるらし
いにしへも しかなれこそ うつせみも つまを あらそふらしき



万葉集の天智天皇の歌だ。碑文は雨に濡れ、いっそう味わい深い。ふと脳裏に桜井市での東山の講演が甦ってきた。

川端先生の歌碑を拝見し、また、その周囲を眺めておりますと、本当に長い時というものを感じる心地です。この歌は、これ以上簡明に大和の美しさをうたうことは不可能だと思えるくらいの響きをもっていると、私には感じられるのです。倭建命の絶唱とされる歌には、先生ご自身の、この世との決別の心がこもっていると思われてならないのです。
日本の美を生涯かけて追いかけてきた川端先生の、魂の最後の安らぎの場所として、ここより適当なところはありません。先生と心の繋がりの象徴として、二つの歌碑が世に残るということは、身に余る幸いです。

なんと強い敬愛の念であろう。川端との邂逅、17年に及ぶ交流、そして突然の別離。その東山も故人となり、川端とともに眠る。
二つの歌碑のある場所は、山の辺の道を少し外れているため、訪れる人も多くはない。騒々しさとは無縁の世界だ。歌碑も小さく慎ましやかだ。もし歌碑が背丈以上もあれば、威圧感を与えるかもしれない。
振り向けば眉のようにたおやかな三輪山。神の山に霧が昇っていく。水面は山影を映し、静謐を宿す。風が渡ると銀波が走る。長く尾を引く水鳥の声もする。この空間の見事さを何にたとえれば良いのだろう。川端はこの地に感動した。あらゆる景色を描いてきた東山も同様だった。私もまた、しいんと静められ、二人の魂に寄り添う。
 あたりはゆっくりと暮色に包まれてきた。水辺を縁取る桜並木が、黄昏の中で白さを増し、まるでぼんぼりのように映った。




↑東山の歌碑を右手に見て、まっすぐ道を行くとすぐ井寺池の堤に出る。そこに川端の歌碑(2011年6月23日撮影。下の写真も同日。上、川端歌碑のみ2011年1月29日撮影)。


↓池に姿を映す三輪山




↓夕暮れの井寺池




※川端康成コレクションと東山魁夷 知識も理屈もなく、私はただ見てゐる
開催中~11月6日(日)まで

山梨県立美術館
甲府市貢川1-4-27
TEL055-228-3322
FAX055-228-3324

←水原さんは、招待券を2枚同封してくださっていました。

行きたい!! けど、無理(T_T)

八王子市に住む友人に声をかけると

山梨県立美術館「特別展」のチケット、ありがとうございます。
ローカル列車に乗って、トコトコ甲府まで秋を感じに行ってみたくなりました。
お言葉に甘えて、お手数ですがお送り頂けますか。


というわけで、郵送しました。無駄にならなくてよかった~

ワタクシは、来年の21世紀美術館をねらっています。金沢に住む友人と会うことも含めて予定を立てるつもり。

水原さん、どうもありがとうございました。

そして、「川端康成の美意識」が掲載された日経新聞でお菓子を包装して贈ってくださったelsur147さんにもお礼を申し上げます。
これがなければ、ワタクシが新聞を読むことも、ブログに書くこともなく、水原さんの目にとまることもあり得なかったわけですから。
どんどんつながるご縁に感謝するばかりです。

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Posted on 2011/10/12 Wed. 19:10 [edit]

category: 未分類

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コメント

 

kazuponさん
おはようございます。
さすが、kazuponさん! ご覧になっていましたか。
京都やMIHOで開催されていたのですね。残念。
来年は21世紀美術館へ行きたいと思っています。
奈良でも似合うと思うのですが。
いろいろ事情があるのでしょうね。
ありがとうございました。

URL | かぎろひ #79D/WHSg | 2011/10/15 07:25 | edit

 

こんにちは。最近の関西の展覧会では『川端VS東山』展が京都文化博物館で、『川端VS安田靫彦』展が信楽のMIHOでありどちらも拝見しました。手に入れられる機会があれば、借金して購入されています。美への探究心に感服します。川端さんの愛蔵の聖徳太子像がカワイイ。
川端のコレクションを日本各地で紹介されていますね。
また近くで見る機会があるのではないでしょうか。

URL | kazupon #79D/WHSg | 2011/10/14 23:57 | edit

 

たーちゃんさん
こんばんは
井寺池の話は、以前からたーちゃんさんが熱く語っていらっしゃったので、まずお知らせしたいと思っていました。
>かぎろひさんのブログと井寺池から見た二上山に沈む夕陽とは
心が安らぐような共通点があるように思われます。
身に余るお言葉ですが、
うれしくて天に昇りそうです(笑)
米田一郎さんとは、歌碑を思いつかれたという課長さんですね!
『桜井ふるさと散歩』存じませんでした^^; 今度、見てみますね。

URL | かぎろひ #79D/WHSg | 2011/10/13 18:49 | edit

 

円亀山人さん
こんばんは
不思議なご縁が続きます。
でも私は、掲示板の皆さんや読者の方とも奇跡的なご縁で結ばれていると感じています。感謝、感謝です。
図録の件ですが、確かにそうですよね。
先に購入して目を通してから、身軽に鑑賞するのがいいのかもしれませんね。
今回の図録は、分厚いわりには軽く、そういうところも配慮されているのかなと、まず持って感じました。
香川県や奈良県でも開催してほしいところですよね。

URL | かぎろひ #79D/WHSg | 2011/10/13 18:39 | edit

 

こんばんは
すごい縁ですね!
私には到底書けない文章、コメントするのも恥ずかしいです。
かぎろひさんのブログと井寺池から見た二上山に沈む夕陽とは
心が安らぐような共通点があるように思われます。
*以前読んだ米田一郎著 桜井ふるさと散歩に著者が川端先生と
歌碑の打ち合わせに現場へ行かれたときの状況や会話が書かれ
いるのを思い出しました。

URL | たーちゃん #79D/WHSg | 2011/10/13 18:34 | edit

 

*ならら*さん
こんばんは
まあ、なんて奇遇なんでしょう。
リンクの件は、いつでもどうぞ、どうぞ。
光栄です。
実は私も今日、不思議なことがありまして。
一瞬、鳥肌が立ちました。
ブログアップするかもしれません。

URL | かぎろひ #79D/WHSg | 2011/10/13 18:33 | edit

 

「明文」は「名文」の誤変換でした。
ゴメンナサイ!
ついでに分厚い展覧会の公式カタログ。
貴重なのですが、いざ会場で購入するとなると、
重いので躊躇しますよね。
後で郵送してもらうにしても、つい面倒になったりして。
何かいい方法はないのでしょうか?

URL | 円亀山人 #79D/WHSg | 2011/10/13 16:21 | edit

 

はじめは何のことかと不審に思いつつ読み進むにつれ、
じわっと感動がこみ上げてきました。
素晴らしい人の縁、二人の芸術家の魂の交流を通じて
綴る明文。「かぎろひ」の輪の広がりは無限ですね。
挿入された写真も負けずに魅力的でした。
可能なれば当県にもある、
「香川県立東山魁夷せとうち美術館」でも開催してく
れないかな~。
http://www.pref.kagawa.lg.jp/higashiyama/
〒762-0066 香川県坂出市沙弥島字南通224-13
TEL:(0877)44-1333
FAX:(0877)44-0220
メールでのお問い合わせはこちらから
  E-mail:higasiyamakaii@pref.kagawa.lg.jp

URL | 円亀山人 #79D/WHSg | 2011/10/13 16:16 | edit

 

こんにちは
壮大な物語ですね。縁というのは不思議なものですね。
わたくし最近、この東山画伯の揮毫された歌碑を調べたばかりなんで、なお驚き、興味深く読みました。
お茶の先生のご主人がお取りになってご自身で表装され、お軸にされたもですが、
「なんと読むのか分からないから調べてちょうだい」と仰せつかったのが、この歌碑でした。
記事を書いて、リンクしていいですか??

URL | *ならら* #79D/WHSg | 2011/10/13 13:57 | edit

 

なむさいじょうさん
おはようございます~
ああ、そうでしたね、こちらはミレーコレクションでも有名だったのですね。
すぐには無理ですが、行ってみたくなりました。
八王子の友人家に泊めてもらって行こう、とか勝手な企画を立てたりしております。
水原氏の文章、最初はほんの一部だけ抜粋と思っていたのですが、切るところがなく、名文だしと、たくさん載せてしまいました。
これから、ご本人におことわりのメールをしようと思います。

URL | かぎろひ #79D/WHSg | 2011/10/13 06:39 | edit

 

kumaさん
おはようございます!
あ、ちょっとご無沙汰でーす。
ブログを始めて素敵なご縁が広がる実感がありますよ。
すでにお会いしてしまった方(笑)、面識のない方もたくさんいらっしゃって、生活が潤うようです。

URL | かぎろひ #79D/WHSg | 2011/10/13 06:32 | edit

 

らん♪ちゃん
おはようございます。
昨日、朝4時前に起床して始発電車で出かけたので、昨夜は驚くほど早い時間に寝てしまい失礼しました。
人柄は関係ないと思いますが(笑)、ブログの発信力に驚くことが多い昨今です。
私生活も書いたりして、恥ずかしーかも、と思ったりもしています。

URL | かぎろひ #79D/WHSg | 2011/10/13 06:23 | edit

 

こんばんは!
水原氏の文章は名文ですね。
おっしゃるとおり、ワタクシも引き込まれました。
川端康成、東山魁夷、お二人ともワタクシの人生に少なからず影響を及ぼした方々(かなり大げさな表現です・笑)なので、思い入れがあります。
お二人に関係する展覧会が、山梨県立美術館で開催されているというのもびっくりです。「種をまく人」などのミレーのコレクションをどうしても見たくて、わざわざ足を運んだことがあるんですよ。ワタクシが訪れた美術館の中では、かなり上位にランクしています。
で、この展覧会、巡回するようですけど、ゆかりの奈良での開催がないのが、ちょっと残念でした。

URL | なむさいじょう #79D/WHSg | 2011/10/13 00:42 | edit

 

こんばんは!
かぎろひさんの温かいお人柄がたくさんの素敵なご縁を引き寄せてこられるのですね。
遠く離れていても繋がっている素敵なご縁…http://blog.narasaku.jp/img/d/63903.gif>http://blog.narasaku.jp/img/d/63903.gif>
とってもいいお話にただ感激しています。(^-^)

URL | kuma #79D/WHSg | 2011/10/12 20:55 | edit

 

こんばんわ!
なんと、素晴らしいご縁。
これは、かぎろひさんのお人柄が起こしたご縁ですね。
こっそり拍手いたしました(^-^)
これからも、かぎろひさんのご縁の輪(和)が大きくなることを
願わずにいられません。

URL | らん♪ #79D/WHSg | 2011/10/12 20:05 | edit

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