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かぎろひNOW

悠久の奈良大和路を一歩ずつ  風景、もの、人…との出会いを楽しみながら

羊と鋼の森 

27~8年前、わが家にやってきたピアノが娘の家へ引っ越しすることになった。
移動の前日、いつもの調律師さんが来られた。

1年に1度、年末に調律をしてもらっているので、昨年末にやっていただいたばかりなのだが、今回は調律というよりも、嫁入り前に、きれいに磨いてお化粧します、サービスでやらせてください、とおっしゃる。

200420ピアノ


このピアノと調律師さんと夫にはちょっと奇遇なご縁がある。

ピアノは夫が1人で買いに行った(相談せえよ)。最初に訪ねた楽器店では、風采上がらず身だしなみにも無頓着な夫への店員の応対はテキトーなものだったらしい。ピアノを本気で買う人には見えなかった?(笑)

夫は気分を損ねて、別の店へ行ったのだという。今はなき奈良そごうの楽器店。
そこでは、若い男性がほんとうに丁寧に説明してくれたそうで、勧められたピアノを即決。

調律はしばらく若い女性が担当してくれていたのだが、他地域へ嫁がれることになり、バトンタッチされたのが今お世話になっているT調律師さんである。

初めてわが家へ来られたとき、ピアノと夫を見て驚かれた。
「いちばんいいピアノをくれと言って訪ねてこられたのでよく覚えています」。夫に一生懸命説明してくれた、その人だったのだ。後で聞けば、社員ではなく、たまたまYAMAHAから要請があって出向していたのだそう。

その方の勧めでわが家へやってきた「UX50A」。来られるたびに、ほんとうにいいピアノです、今はもうこういうピアノはないんですよ、とおっしゃるのだ。


年末の調律は2~3時間かかるので、作業の様子をのぞくこともなく、お任せしていた。
が、最後のお別れとなると、名残惜しいし、ピアノの中も見学しておきたい。

200420ピアノ2


う、美しい!


200420ピアノ5


ひとつの世界があった。

200420ピアノ6


それで思い出したのが『羊と鋼の森』(宮下奈都 著)。
まさに、羊と鋼の森がそこにはあった。
ピアノはハンマーが弦を打つことで音を出す。ハンマーはやわらかい羊の毛からなるフェルト。弦は鋼鉄製だ。

小説では、高校のピアノの調律に来た板鳥氏を、たまたま案内することになる主人公が感銘を受けて調律師をめざすのだが、その時の板鳥氏のセリフ
「良い草を食べて育ったいい羊のいい毛を贅沢に使ってフェルトをつくっていたんですね。今じゃこんなにいいハンマーはつくれません」

わが家の調律師と重なる。Tさんも、もう今はこんなピアノはないんですよと、褒めまくるのだ。
上質の羊の毛もそうだが、足の面取り

200420ピアノ足


塗装についても、今はチョコレート菓子のようにオートメーション化されているが、このピアノは職人の手作業でグレーの上に黒を重ねたもの。深い黒色の光沢がまるで違うと絶賛。

支柱もX型で強度が違うとか。全部日本製なのも今ではあり得ませんね、と。
あ、それから、鍵盤に不具合が起きても1つだけ取り外しての修理が可能。今は1つだけというのは無理みたい。

ま、ワタクシはそこまでゾッコンというわけでもなかったのだが、調律師さんの言葉を聞くたびに、思い入れが深くなるのだ。

この日、Tさんは鍵盤一つひとつまで解体して、すみずみまで磨き上げてくれたのだった。

200420ピアノ鍵盤


手放すのは惜しい、さみしいと思っていたので、娘宅に引き取られてうれしい限り。無事に嫁入り~。

2004ピアノなっちゃん宅

『羊と鋼の森』に何度か出てくる言葉。この小説の大きなテーマでもあるカナ。

「明るく静かに澄んで懐しい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」原民喜『砂漠の花』より

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Posted on 2020/05/02 Sat. 19:51 [edit]

category: 読書

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コメント

記録 


大和の和尚さん

こんばんは。引き続いてのコメントありがとうございます。
蓋を開けて右側ですよね、記録されているのは知っていますよー。調律の記録もきちんと書かれているはずです。が、いつ買ったかの確認は怠っていました^^; だいたいわかってたらええやん(アカンかな、笑)。性格的に、記録もついついおろそかにしてしまいがちなのですが、肝に銘じます。

明日でちょうど35年というのはタイムリーですね。普段なら子どもさんが帰省されているでしょうから、記念パーティでしょうか。

URL | かぎろひ #- | 2020/05/04 19:46 | edit

ピアノの納入日 


こんにちは。

我が家のピアノの納入日、昭和60年5月5日です。
明日5日で35年です。

なぜわかるのかというと、ピアノの上の蓋を開けた内側にポケットがあり、そこにピアノの保証書と調律記録の冊子がありました。初めて蓋を開けて発見したのです。こんなところにあるなんて知らんかった。
よくある事で関係者しか知らない裏手にこっそり?記録しとく事。これが将来役にたつんだ。記録って大事ですね。私は家電品を買った時に裏の見えない所にテプラで購入年月日を貼り付けています。これを見て更新の時期を判断してます。

ピアノって70年ですか。家のはもう半分過ぎたのですね。これからも大事にメンテして使おう!

かぎろひさんもピアノの裏手の記録確認してみて下さい。

URL | 大和の和尚 #1B17l5wo | 2020/05/04 11:16 | edit

伝世品 


大和の和尚さん

おはようございます。コメントありがとうございます。
同様の機種のようですね。我が家のは、平成4年頃(曖昧^^;)だったかと思います。
何世代にも伝わっていくと思うとうれしいのですが、残念ながら金属部が70年ぐらいしかもたないそうです。でも、中身を入れ替えるのは可能のようですよ。
そうそう、250kgあり、引っ越し作業も大変でした。

調律師さんは中を開けられていると思います。ぜひ見学を。

URL | かぎろひ #- | 2020/05/04 07:18 | edit

ピアノの内部 


大和の和尚です。

ピアノの内部の写真を見て、すごくきれいに並んでいる事にびっくり。
早速、我が家のピアノをじっくり見ました。

昭和60年に買ったものでヤマハのUX3という機種。
かぎろひさんのピアノと良く似ており、支柱もX型で黒塗り。

買った当時、重量が250Kgぐらいだったので、床下に潜って補強をしたのを思い出しました。

今度、調律師が来たら、内部を見せてもらおうと思った次第です。でも調律だけでは前面パネルははずさないかなぁ。

そうそう、以前何かの記事で奈良県がピアノの保有率が日本一と書いてあったと思う。耐久消費財を永く使うのが奈良県民だとか。

娘さんにも永く大事に使うようにお伝えください。

URL | 大和の和尚 #1B17l5wo | 2020/05/03 20:50 | edit

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