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かぎろひNOW

悠久の奈良大和路を一歩ずつ  風景、もの、人…との出会いを楽しみながら

追悼 油長酒造 山本会長 

1月9日、今年も正暦寺で「菩提酛清酒祭」が行われました。

170109菩提酛清酒祭

今年は5人の仲間と参加し、そのことをブログに書こうとしたのですが・・・。

菩提酛の仕込に山本長兵衛さんの姿がないという事実に、改めて衝撃を受けました。蔵元の皆さんはもっとひしひしとその大きさを感じられていたのではないでしょうか。
500年前のお酒づくり、菩提酛復興の、いちばんの立役者とも言える油長酒造の会長、第12代山本長兵衛さんは、昨年11月、急逝されました。64歳という若さでした。

菩提酛復興の足跡を振り返ってみます。
平成8年(1996)、山本長兵衛さんが蔵元仲間に話をもちかけて「奈良県菩提もとによる清酒製造研究会」が発足。座長は山本長兵衛さん(このときは油長酒造の社長)。設立時の蔵元会員は15。奈良県工業技術センターの協力を得て、文献を研究しつつ、天然微生物の採取などに取り組まれます。
3年間の研究を経て、平成11年(1999)復興の成功と市販にこぎつけました。

当時の写真(紙焼きを撮影)

1999写真


『かぎろひの大和路』誌では、菩提酛のことをシリーズで取り上げさせていただきお世話になりました。ワタクシの担当ではなかったのがちょっと残念なのですが。
シリーズ②(1999.5発行)に載る山本座長の言葉
菩提酛づくりが奈良の風物詩になるよう、さらに酛の完成度を高めるよう研究を続けます。

それから20年近く経った今、まさに奈良の風物詩になりつつあるなあと、たくさんの見学者を見て思わずにはいられません。
菩提酛づくりに関わる蔵元さんたちにも世代交代が感じられるようになりました。こうして受け継がれていくことを長兵衛さんも喜んでいらっしゃるでしょうと、M先生。

奇しくも、12年前に菩提酛づくりを体験した3人が今年、正暦寺に集まり、長兵衛さんにとても丁寧に教えていただいたことなど共通の思い出話ができたのもなによりでした。


個人的な思い出話もご紹介させてください。
平成16年(2004)『かぎろひの大和路』御所特集のとき、裏表紙に、御所の3つの蔵が並ぶ広告をいただいたことがあります。大好きな御所のお酒に並んでほしいという企画を持っていったところ、応援をいただき、あとの2つの蔵にも行ってきなさいと送り出してくださったのでした。2蔵にも快くOKをいただいたことは忘れられません。

20号表紙


その4年後、もっと個人的な話で恐縮ですが、母を亡くして落ち込んでいたとき、高校生の娘がワタクシの誕生日に「風の森」をプレゼントしてくれたのです。ずっと前にも書いたことがあると思うのですが、改めて。
あまりにうれしくて、蔵元にメールを送ってしまったのでした。

秋色ただよい始めました。
たいへんご無沙汰しております。
私事でいろいろありまして、かぎろひ誌の発行が大幅に遅れているような状況でございます。

さて、そんななか、今日はとてもうれしい出来事がありましたので、ご報告させてください。
昨日、私の誕生日だったのですが、高校生の娘から思いがけないプレゼントがあったのです。
それがなんと、「風の森」純米大吟醸 しぼり華(山田錦 精米歩合45%)の逸品! 
制服姿で、一升瓶をかついで帰ってまいりました(きちんと包装してくださっていましたのでご安心を)。
アルバイトでためたお金をつぎこんでのプレゼントに胸が熱くなりました。
私が、珍しく最近ちょっと元気がなかったものですから、大盤振る舞いのプレゼントとなったようです。母親を元気づけようとひらめいたのが日本酒というのも、ちょっと複雑なものがありますが(^_^;)
・・・


お返事は全く期待していなかったのですが、蔵元じきじきにメールが届いてビックリ。

お誕生日おめでとうございます。
娘さんの誕生日プレゼントが風の森だったとは造り手としてもうれしいかぎりです。
母親思いの娘さんですね。
また、元気を出してかぎろひの大和路発行してください。
きっとかぎろひさんの文章で元気をもらっている読者の方が待って下さってますよ。

稲穂が頭をたれてきました。またお酒造りが始まります。
今年も皆さんが元気になっていただけるような風の森を造りたいと思っております。



今読んでも、いや今だからいっそう胸をうたれます。


そうそう、山本長兵衛さんは、「風の森」の生みの親でもあります。純米、火入れなし、加水なし、無濾過にこだわったフレッシュなお酒は、じわじわと酒好きの間に広まり、今や全国区ですよね。いわゆる酒米ではなく、アキツホという食米を用いて、おいしくてリーズナブルなお酒をつくられたことは画期的だったのだと思います。

今期の「風の森」初しぼり、会長も見届けられたでしょうか。

笑う門には福きたる


お米を磨いたらうまい酒ができるのかと思っていたワタクシに、そうではないことを教えてくれたのも「風の森」でした。20%しか磨いていない「風の森 雄町80」や「風の森 山田錦80」にお酒造りの奥深さを感じたものです。


長兵衛さんは、けれども、自分の蔵のことだけではなく「奈良のお酒は全国的にみてもレベルが高い」とおっしゃり、酒造業界全体のことを考えていらっしゃるようでした。

ずいぶん前に、ある蔵元を取材したときに聞いた話が印象に残っています。
頼りにしていた杜氏が突然倒れ、お手上げ状態だったときに、長兵衛さんが駆けつけてくれたのだとか。年末年始の、自分の蔵も多忙を極めるときに来て支えてもらい恩義に感じている、足を向けては寝られないと、しみじみおっしゃっていました。


蔵元仲間からも一目おかれ、尊敬される、存在だったのでしょう。


どうもありがとうございました。ご冥福をお祈り申し上げます。
あちらで、今西酒造の先代とお酒談義をされているかも、と考えると、少し気持ちが和みます。

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Posted on 2017/01/12 Thu. 00:04 [edit]

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