かぎろひNOW
悠久の奈良大和路を一歩ずつ 風景、もの、人…との出会いを楽しみながら
豊田トンド山古墳 発掘調査現地説明会
5月2日、現地説明会が開かれました。
今回発見された古墳は、すでに奈良県の遺跡地図には掲載されているのだそうですが、未調査でした。
08D-0306古墳という表記とのことですが、見つかったからには名前を付けなければなりません。古老の話から「トンド山」という呼称が選ばれたとか。まだ申請段階なので資料には(仮称)となっています。
まず、場所を確認しましょう。
天理市教育委員会編集の『天理の古墳100』(2015.1.15発行)掲載の地図の上に、載せてみました。
(クリックで大きくなります)

天理教本部の北側あたりから、発掘地遠望

↑ちょっとわかりにくいですね、集落の背後の丘陵地。左手、山肌が少しのぞいている所。
昨年7月17日(古墳探検ハイキングの日)、同じ所から撮っていました。

低い山の裾に、軒を並べる集落。奈良ではよく見かける風景ですが、なにか心ひかれるものがあります。
写真は豊田の集落。想像どおり、趣ある家並みでした。

この豊田集落の背後(北)の丘陵地が、今回の舞台。
現地説明会の入口で。

竹藪の中を上っていくと


すでにたくさんの方が来られていました。

説明会は30分ほど前倒しでスタート。調査担当の石田主査が丁寧に説明してくださいました。
こんな状況で拝聴

正面から撮ることがなかなか叶わず、説明が終わってから一瞬もぐりこんで^^;

↓もう少し大きく(クリックで拡大)

横穴式石室は両袖式で、南南西に開口。天井石と側壁の一部が失われていました。玄室奥壁下段はベンガラにより赤く染まり、床面には長径30㎝ほどの石が敷き詰められています。
その大きさなどは、現地説明会の資料をご参照ください。

直径30m程度の円墳の可能性が高いとみられています。
埋葬状況については、盗掘を受けているために当初の状況は不明だとはいえ、玄室内を中心に二上山の凝灰岩の砕片が多数見つかっているそうで、凝灰岩製の石棺が安置されていたと考えられています。
また、羨道部の床面がベンガラにより赤く変色していたこと、付近から鉄釘が多量に見つかったことなどから、羨道部には追葬された木棺が置かれていた可能性があるとのことです。
古墳からの眺め

現地説明会資料は下記のように結ばれています。
4.おわりに
豊田トンド山古墳(仮称)は石上・豊田古墳群では前方後円墳(石上大塚古墳・ウワナリ塚古墳など)や方墳(ハミ塚古墳)に次ぐ墳丘規模を有しています。横穴式石室もこれらの前方後円墳や方墳に次ぐ大きさであり、他の円墳や横穴式石室とは一線を画するものです。また、石上・豊田古墳群における小規模な円墳は尾根筋や斜面に密集して分布している一方、豊田トンド山古墳は単独で高所に立地しており、古墳群全体で見ても特徴的な立地といえます。さらに、石上・豊田古墳群のなかでは最終段階に造営された古墳であり、同時期の古墳のなかでは最有力の被葬者が想定されます。
豊田トンド山古墳(仮称)は石上神宮や布留遺跡を見下ろす高所にあり、これらを強く意識した立地といえます。墳丘や横穴式石室の規模からみても、布留遺跡と密接に関わる有力な首長層の墓である可能性が高いと考えられます。
昨年12月から、都市計画道路(別所丹波市線)事業に伴って調査が進められています。
せっかく見つかったこの古墳、どうなるんでしょうね。
ふとよぎるのが、ハミ塚古墳。
道路の都合でこんなことに。

石舞台古墳と同じくらいの規模だったようですが(↓クリックで拡大)。

それから、岩屋大塚古墳。全長100mに及ぶ前方後円墳の、南半分が破壊されています(2014.7.17撮影)。

ハミ塚古墳、岩屋大塚古墳とも、名阪道路の北側に位置。上の地図をご参照ください。
この日は、30度を超える真夏日でしたが、風はさわやか。新緑の美しさに感嘆しながら、ゆっくりと櫟本駅まで歩きました。
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コメント
現地?
白雪さん
こんばんは! お帰りなさい。お疲れさまでした。
えっ、現地へ行かれますか? たぶん、シートがかぶさっているでしょうね。 でもあのあたり、まだまだ古墳探検したいわぁ。よろしくお願いしまーす。
No title
こんばんは。
無事に帰ってまいりました。
丁寧な説明ありがとうございました。
現地での説明楽しみにしています。
URL | 白雪 #J/OPKEkg | 2015/05/04 19:53 | edit
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