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かぎろひNOW

悠久の奈良大和路を一歩ずつ  風景、もの、人…との出会いを楽しみながら

小判草から 

先日、竜田川沿いの遊歩道で小判草(こばんそう)の群生を見つけました。

小判草


小判草って、一度知ったら忘れませんよね。そのものズバリ。

小判草2


そういえば、ずいんぶん前になりますが、読者の方が贈ってくださった自費出版のエッセーに小判草のことが書かれていたことをふと思い出しました。あれは10年前だったか、いやいや20年になるか・・・、日々の暮らしのなかのひとこまが心温まる文章で綴られていたことを思い出すと、もう一度読みたくてたまらなくなりました。

心当たりを探してやっと引っ張り出すことに成功。

木もれ日

「木もれび」はシンプルな装丁で2冊。発行は1988年と1992年。著者は千葉県在住のKさん(女性)。
もう20年以上も前になることに愕然とします。

目次を追っていくと、奈良公園、法輪寺、春日山、室生寺、といった奈良関係以外はほとんどが植物で、この方の草木や花に寄せる思いが感じられます。
宝鐸草、躑躅、毬藻、桐、釣鐘人参、山葵、しろばなまんてま、桔梗・・・・

あれれ、小判草、ないやん。
思い違いだったのだろうか。いやいや、子どもたちとお母さんが話している情景まで浮かぶのだから、どこかにあるはずと、再読し始めたら、なんと、冒頭(続)の「百合の木」と題するエッセーの導入部にあったのでした。

・・・今朝、いつもの道で新しい花を見つけました。糸のような細い柄の先に二つ三つとぶら下がっている小判草の花穂です。
・・・
俵麦とも小判草とも呼ばれているイネ科の植物で、長さ1~2センチの楕円形をした小さな穂の形は本当に俵や小判にそっくりです。5月の風に揺れるその穂の形の面白さにひかれて、夕方2、3本摘んで帰りました。

一輪挿しに挿してテーブルの上に置き、子どもたちにこの草の名前を当ててごらんというと、その実の形を見ながら三葉虫草だとか、ごきぶり草だとか思い思いに勝手な名前をつけて楽しんでいましたが、この草などは一度名前を知ってしまうと、その形からすぐに名前を思い出すことのできる植物のひとつです。


エッセーはここから本題に入るのですが、小判草とは逆に名前と実物とが形の上で一致しにくい植物ということで「百合の木」が登場します。

ワタクシがなぜテーマの「百合の木」の内容を覚えていなくて、導入部の小判草のことばかり頭の引き出しに入っていたのか不思議ですが、たぶん、20年前、百合の木を知らなかったからでしょう。

今は違いますよ。興味深く再読。
だって、先日このブログでも話題にしたばかりですし、東京国立博物館の百合の木のことも書かれていたのですもの。

・・・
私にとって百合の木といえばすぐに思い出されるのが、東京国立博物館に立つ百合の木なのです。
この木は昭和13年に本館が開館した時、牧野富太郎博士が植えられたということを最近知り、一層の親しみを覚えました。
・・・
うす暗い館内から外に出たとたん、明るい秋の陽ざしに照らされて黄金色に輝く一本の大樹が私の眼に飛び込んできました。
黄葉した百合の木でした。
木の下のベンチに腰を下ろして、見事に黄葉した葉の重なりを下から見上げたり、落葉を拾ってノートにはさんだり、縦に裂け目のある白っぽい樹肌をなでたり、少し離れていろいろな方角から樹形を見たりして、しばらくこの木と遊んで心を休ませました。
そして、高さ30メートル以上もあるこの木の梢が、威厳にみちた東洋風の建物である本館の方に少し傾いていることに気づきました。私にはこの百合の木が、人間の様々な歴史を教えてくれる国立博物館の建物に、やさしく寄り添っているように感じられてなりませんでした。一本の木にも心が感じられるものです。



今年2月に撮った写真をもう一度見てみました。

東博ユリノキ

確かに、建物に寄り添っているように見えますね。

エッセーはこんな一文で結ばれていました。
今頃はあの百合の木も、緑の風に揺れながらチューリップのような花をたくさん咲かせていることでしょう。


あっ! この前ワタクシがユリノキについて書いた記事を見てみると
“今頃、東博のあのユリノキは青葉のなかにチューリップのような花をいっぱいつけているのでしょうね。”

同じような思いをあのユリノキに寄せていて、この著者にいっそうの親しみを感じたのでした。

Kさん、お元気ですか。
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Posted on 2014/06/13 Fri. 07:26 [edit]

category: 読書

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