かぎろひNOW
悠久の奈良大和路を一歩ずつ 風景、もの、人…との出会いを楽しみながら
3月24日は檸檬忌
3月9日の番外編では、梶井基次郎のお墓がある常國寺にも立ち寄った。

梶井基次郎といえば、『檸檬』と「桜の樹の下には屍体が埋まっている」というフレーズが有名だよね。
『檸檬』はワタクシも昔、読んだことがあるのだけれど、どこがいいのかわからなかったことだけを覚えている。まあ、考えてみれば、高校生にデカダンな作家のことなどわかるはずもなく、嫌悪に似たものすら感じたような気がするのだ。
そういえば、夫が奈良へ来て初めて買った全集が梶井基次郎だということを、一昨年、豊住書店さんの閉店時に言ってたなあと思い出して書棚を確認してみると、あったよー。

↑かれこれ50年になるのかな。全集といっても3冊だったのね。
『檸檬』自体も十数ページという短編。読み直してみたら、あの頃の印象とずいぶん違った。
店に並ぶ果物や人参葉の美しさ、夜の風情などが表情豊かに描かれているではないか。その店で檸檬一つ買って、街を歩き回る。
…
始終私の心を圧えつけていた不吉な塊がそれを握った瞬間からいくらか弛んで来たとみえて、私は街の上で非常に幸福であった。あんなにしつこかった憂鬱が、そんなものの一顆で紛らされる――あるいは不審なことが、逆説的なほんとうであった。それにしても心というやつはなんという不可思議なやつだろう。
…
そしてふかぶかと胸一杯に匂やかな空気を吸い込めば、ついぞ胸一杯に呼吸したことのなかった私の身体や顔には温い血のほとぼりが昇って来てなんだか身内に元気が目覚めて来たのだった。……
読後には爽快感さえあって、びっくり。
お墓には檸檬が供えられていた。
3月24日は「檸檬忌」。
命日にお参りには行けないけれど、檸檬を漢字で書けるようにしよう(笑)
あ、さだまさしにも『檸檬』があったわね。

梶井基次郎といえば、『檸檬』と「桜の樹の下には屍体が埋まっている」というフレーズが有名だよね。
『檸檬』はワタクシも昔、読んだことがあるのだけれど、どこがいいのかわからなかったことだけを覚えている。まあ、考えてみれば、高校生にデカダンな作家のことなどわかるはずもなく、嫌悪に似たものすら感じたような気がするのだ。
そういえば、夫が奈良へ来て初めて買った全集が梶井基次郎だということを、一昨年、豊住書店さんの閉店時に言ってたなあと思い出して書棚を確認してみると、あったよー。

↑かれこれ50年になるのかな。全集といっても3冊だったのね。
『檸檬』自体も十数ページという短編。読み直してみたら、あの頃の印象とずいぶん違った。
店に並ぶ果物や人参葉の美しさ、夜の風情などが表情豊かに描かれているではないか。その店で檸檬一つ買って、街を歩き回る。
…
始終私の心を圧えつけていた不吉な塊がそれを握った瞬間からいくらか弛んで来たとみえて、私は街の上で非常に幸福であった。あんなにしつこかった憂鬱が、そんなものの一顆で紛らされる――あるいは不審なことが、逆説的なほんとうであった。それにしても心というやつはなんという不可思議なやつだろう。
…
そしてふかぶかと胸一杯に匂やかな空気を吸い込めば、ついぞ胸一杯に呼吸したことのなかった私の身体や顔には温い血のほとぼりが昇って来てなんだか身内に元気が目覚めて来たのだった。……
読後には爽快感さえあって、びっくり。
お墓には檸檬が供えられていた。

3月24日は「檸檬忌」。
命日にお参りには行けないけれど、檸檬を漢字で書けるようにしよう(笑)
あ、さだまさしにも『檸檬』があったわね。
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