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かぎろひNOW

悠久の奈良大和路を一歩ずつ  風景、もの、人…との出会いを楽しみながら

『奈良の八重桜ー仏師運慶伝』 

「奈良八重桜の会」会報を制作中です。2月初旬の総会時に配布予定。

19011面

昨年4月15日の「奈良八重桜を愛でる会」は、奈良女子大学のナラノヤエザクラが満開に近い状態のなかで実施することができました。⇒
開花はあきらめていただけに、会員は皆、奇跡的な喜びを感じながら当日のイベントにのそんだのでした。

それを表現したくて、ナラノヤエザクラの中にみんなを立たせてみたのですが…↑
うーん、どうでしょうかね。まだ試作中につき、シンプルに変更するかもしれません^^;

見開きページでは、愛でる会を大きく扱い、あとの活動や関連ニュースはたくさんあるので、小さくなります。
そのなかに、『奈良の八重桜ー仏師運慶伝-』の紹介も。

1901運慶伝


仏師運慶の生涯を追ったもの。
序章は南都焼き討ちから。
平重衡ら平氏軍による大火が興福寺にも迫ります。運慶は興福寺の西南隣に住んでいるのですが、幼い4人の子どもたちを妻に任せ、逃げるように指示し、自らはお堂の仏像を守ることに奔走。諸仏を運び出し、猿沢池の中に沈めていきます。
阿修羅さんを運慶が運び出すシーンを転載してみますね。

猿沢池の畔に辿り着き、運慶は抱えていた阿修羅仏を地面に下ろした。六本ある手の内の一本は無残に肘から先がなくなっていた。しかも火の粉を大量に浴びた像のあちこちから薄く煙が上がっている。周囲を見渡すと、同じように身体のどこかが燻っている仏がいくつもある。このままにしておけば、漆の仏達は燃え上がってしまうだろう。彼は着ていた法衣を脱ぐと、池の中にざぶりと浸した。たっぷり水を含んだ衣をそのまま阿修羅仏にかける。…


「奈良八重桜」も重要なアイテムとして登場しているのですよ。
南都が焼土に化したとき、知足院でけなげに咲いている八重桜を発見。
しかも、このとき、桜の下で、重源さんと出会います。

運慶も重源の肩越しに坂の上に視線を向け、胸の中で叫んだ。……ああ、今年も咲いている。可憐で小さな花が、今年も枝一杯に咲いている。
「これは何という桜かな」
「はい。奈良の帝が皇后様のために御蓋山からお持ち帰りになった八重桜でございます」
「そうか、話に聞いていた桜がこれか。だが不思議なものよのう。何もかも燃えてしまったと思い込んでいたが、大仏様をお造りになった帝が愛された桜が生き延びていたとは。…これは大仏様と奈良の町を再建せよとの帝のお言葉としか考えられぬな」

これから多くの仏師が競って造仏に当たることになるだろうこの時期に、大仏様の再建を任されておられる俊乗上人にお会いできたのは何という幸運。これこそ八重桜のお導きかもしれない。
運慶は咲き盛る八重桜の下に立ち、何か不思議な運命のようなものを感じていた。



作者の神部眞理子さんは、仙台市在住のお医者様。
多忙なお仕事のなかで、書かれたことに驚くばかりです。
アマゾンでも購入できるようです。⇒

お会いする機会のある方にはお貸しいたしますので、お声をかけてくださいね。
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Posted on 2019/01/18 Fri. 15:03 [edit]

category: 奈良八重桜

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