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かぎろひNOW

悠久の奈良大和路を一歩ずつ  風景、もの、人…との出会いを楽しみながら

野に遊び 人に学ぶ 

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万葉学者で歌人の猪股靜彌氏が昨年9月、85歳で亡くなられたことを、この本を見て知った。

『野に遊び 人に遊ぶ』は奈良新聞に足かけ7年連載されたエッセーを、1冊にしたもの。
最終ページが平成21年7月だから、亡くなられる2か月前まで健筆をふるっていらっしゃったことになる。

最後のエッセーは「花鳥誘う恋の散歩道」と題するもの。
学園前から赤膚山行きバスに乗って藤ノ木台で下車、そこから800メートルほどの道を「わたしの楽しい花鳥愛好の道行き」と書く。
ナラ、クヌギ、ミツバツツジ、モチツツジ、テッセン、ゼニアオイ、ケイトウ。
セグロセキレイ、コジュケイ、バン、ヨシキリ。
著者がいかに自然を愛して優しい目を注いでいたかがわかる。

文末の4行。
目下、後期高齢者のわたしは、若い郵便局の姫に、老いらくの恋をしかけている。彼女が仕事中であれば、姫の仕事の終わるのを待ってハガキ一枚を買う。
彼女が局内に見えない日は、何をしにきて、今ここに居るのかと嘆きながら、花鳥の花園道をうらぶれて足にまかせて帰る。


最後から2つ目のエッセーは「ばかもののいしぶみ」。
万葉歌碑建立に揮毫を頼まれても、頑として応じなかったという。
氏の高潔なお人柄がしのばれるようだ。

新納忠之介(にいろちゅうのすけ)、中島敦、北見志保子、御所久右衛門、吉野裕子、小清水卓二など奈良にゆかりの人物との思い出や、知られざるエピソードがいっぱい。
長らく一条高校の先生をされていたときの、身近な話題も楽しい。

繊細な挿絵も著者の作品。
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※『野に遊び 人に学ぶ』
平成21年12月16日発行
1300円+税
四六判 176ページ
奈良新聞社発行
問い合わせ 奈良新聞社編集部出版課 0742-32-2117

※猪股靜彌氏
大正13年(1924)、大分県生まれ。
昭和26年から60年まで奈良市立一条高校勤務。62年まで愛知女子短期大学、平成14年まで帝塚山短期大学勤務。帝塚山短期大学名誉教授、寧楽短歌会代表。平成21年9月8日逝去。

ご冥福をお祈り申し上げます。

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Posted on 2010/01/22 Fri. 20:52 [edit]

category: 読書

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