かぎろひNOW
悠久の奈良大和路を一歩ずつ 風景、もの、人…との出会いを楽しみながら
新大宮のムクドリ

近鉄奈良線新大宮駅前の夕刻、見上げると、このとおり。
電線という電線を埋め尽くしているのは、ムクドリである。
等間隔にビシリと整列するさまはお見事!
と、感心してもいられない。
まず、ギャーギャー鳴く声がすさまじい。
が、それは集まって来た夕刻だけで、夜ともなるとしっかり熟睡しているのか、静かなものである。
いちばん困るのは糞害で、臭い、汚い。
上からプレゼントをもらうこともあり、憤慨する人は多い。
ムクドリの習性はと、ウィキペディアで調べてみた。
日中は数十羽ずつの小群で、自然の多い郊外で虫や木の実を食べている。
夜になると、天敵であるカラスや猛禽類に襲われる危険があるので、安全な市街地に大集団でねぐらを形成する。
夜も明るく、賑やかな駅前がムクドリにとっては、いちばん安全なのだそう。
新大宮駅前も、ムクドリに選ばれし楽園ということか。
一時は、街路樹を丸刈りにしたり、大音響の声を流したりしていた。
天敵の声を聞かせてムクドリを追い払おうとしているのかと思っていたら、実は、ムクドリ自身の声でそれも危険を感じた時のものや、断末魔の叫び声だったという。
しばらく効果はあったというが、彼らの学習能力には勝てなかった。
同様の状況になっている都市は各地にあるようで、いろいろな対策はこうじているらしい。
けれども、追い払うだけだけだから、根本的な解決には至っていない。
ワタクシの周辺には「うまかったら、焼き鳥にしたらええねん」などとコワイ発言をするヤカラもいるが、そんなことでもしようものなら、奈良が全世界からヒンシュクを浴びかねないよね。
ちょうど、5時半頃、新大宮駅に降り立ったワタクシ。
しばらく観察をきめこんだ。
東から北から(方向としてはそれが多かった)、小集団がいくつもやってくる。
いきなり街路樹や電線を目指すわけではなく、ビルの上を何度か旋回しつつ、大きな固まりとなり、ねぐらへ。
これが、なかなか楽しそうなのである。
街路樹が揺れ動くほど騒いでいる集団もあれば、おとなしく電線にとまっているのもいる。
調べてみると、ムクドリは家族で生活、両親が力を合わせて子育てするのだという。
指定席とか家とか決まっているのかなあ。
そんなことを思いながらギャアギャア鳴く声を聞くと、何だかほほえましくもなったりする。
奈良に自然がいっぱい残っているということの証明とも言えそうだし、ね。
あるいは、奈良市民がやさしい(手ぬるい?)ということカナ。
でもでも来年、多くのお客様を迎える遷都1300年祭のときにこれでは、ちょっとおもてなしの気持ちが足りないのでは。
「奈良って臭いよ」なんて、言われたくないし。
せめて、1年間だけでも、ムクドリさんにどこかへ移動してもらいましょうか。
とまりにくくなるようなものをつけるとか、防鳥ネットをかける、とか。
お役所さん、何か工夫していただけませんかぁ。
それが無理なら、毎朝、地域の人がうちそろっての大掃除作戦しかないか。

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