かぎろひNOW
悠久の奈良大和路を一歩ずつ 風景、もの、人…との出会いを楽しみながら
十五所神社の宮座

『かぎろひの大和路』次号の「生活と風習と」では、西大寺「十五所神社」の宮座をとり上げる。
何人かにお話を聞きながら日を重ねてきたが、本日の取材で一応、ピリオドとしたい。
十五所神社については以前の記事参照を。
http://kagiroi.narasaku.jp/e9925.html
この神社には、氏子が右座と左座に分かれた宮座かある。
オウザ、アンザと呼ぶ。
それぞれの組織は微妙に違っている。
たとえば、オウザは、最年長集団である九人衆、それに次ぐ十人衆がいて、祭祀を司る。
九人衆の一良(いちろう。一老と書く宮座もあるが、ここでは一良の文字)、二良、三良、…、また十人衆の一良、二良、…というふうに呼ばれる。
九人衆のうち二人は氏子神主(かんぬし)と呼ばれる重職につき、その年のお祭りの中心的存在となる。この役は毎年順番に担当する。
アンザの場合は、大人九人衆と中座と呼ばれる七人。
神社のおもな行事は、お正月と秋祭りで、偶数年はアンザが、奇数年はオウザが担当するという決まりがある。
秋祭りは現在、10月第2日曜日に行われている。
前日が宵宮。

興味深いのは、元和4年(1618)からの宮座の記録「宮座指帳」が保存されていることだ。
左は、昭和46年に書き写されたもの。
お借りすることができたので、ゆっくり目を通してみたい。

上は「ゲンゴ提灯」と呼ばれる由緒あるもの。
かつては祭りのときに、一良の隣の席に置かれ「1人」として扱われた提灯だというが、今は出番がなくなっている。
今日は、わざわざ出していただいた。
祭り自体は、時代の流れとともに、現在はかなり簡略化されてきている。
以前は、神社の境内にゴザを敷いての直会(なおらい)の儀が行われていたが、今は社務所で簡単に済ませる、といった具合。
神社の周りは開発が進み、高層マンションが建ち、今も参道の横が建設ラッシュ。
トップの写真は、肩身が狭いような十五所神社の石の鳥居。
周りはこんなに現代の波にあらわれているのに、一歩、神社の境内に足を踏み入れると、静かな、独特の神さびた空気がただよう。
現実を受け入れながら、そのなかで、昔から受け継がれてきた宮座の祭祀を、当たり前のように淡々とこなしている人たちに、感動を覚えた。
今回は特にご高齢の皆様にお世話になった。
神社の脇の畑でお話をきいた田沢稔さん(80歳)、今も現役で眼鏡屋・タバコ屋を営む松本弘さん(85歳)、病み上がりだと言いながらも出て来てくださった田村さん(90歳)、お宅で話をしてくださった後、炎天下を神社まで歩いて提灯を出してくださった岡田昇さん(77歳)、立ち合ってくださった氏子神主の山本雅宥さん、川辺茂雄さん。
お世話になりました。ほんとうにありがとうございました。

こんなカッコで、と言いながらもポーズしてくれた氏子神主のお二人。
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